うしやま ヴァイオリン スクール

Ushiyama Violin School

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レッスンや練習に関して

レッスンの中で大切にしていること、
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楽譜に何を書くか

楽譜もデジタル化の流れで、タブレットに表示する方も居ますが、私は紙の楽譜が好きです。バッテリーが切れたり、フリーズしたらどうするのか…と色々気になります。紙に鉛筆で書き込んで、間違えたら消しゴムで消して…傷んだり・破れたりもしますが、それも楽譜を使った証しです。
さて、このページの本題「楽譜に何を書くか」です。以下の楽譜はCDから何を聴くかでも取り上げた鈴木鎮一ヴァイオリン指導曲集1巻の13曲目、「メヌエット 第1番」の冒頭です。

メヌエット 第1番の冒頭

ヴァイオリンを弾く時には、音名を読み、何線の何の指かを考え、弓のアップ・ダウンは…というのが確かに重要です。でも、それを何処まで書くかは立ち止まって考えた方が良いです。音名、指番号と何線か、弓のアップ・ダウンを書くと、譜例1の様に混み合ってしまします。

譜例1

ここまで書き込んでしまうと、多くの場合は「音名(カタカナ)」と「数字(指番号)」しか見てなくて、どんどん楽譜を読まなくなります。
スラーの意味も覚えず、アップ・ダウンの記号だけを頼りに、譜例2の様に認識していないか…

譜例2

必要な事・忘れそうな事は書いた方が良いが、ある程度の事は覚えなくてはいけません。理想は何も書かずに弾けるようになるのが良いのです。間違えやすい部分だけ何かを書くとしたら、譜例3の様に、3小節目の3拍目(ド)と4小節目の1拍目(シ)の部分に、半音を表す記号を書き込む。「(半音)」という表記はせずに、記号だけを書きます。

譜例3

『楽譜が読めません』という声を時々聞きます。最初は読めなくても、徐々に読める様にすれば良いです。ただ、譜例1の様に多くの事を書き込んで、何とかその曲を弾く…という状況は将来困ることになります。

おまけ

先日、気になる楽譜を見つけました。「パッヘルベルのカノン」として知られる曲の中で、以下の様なスラーを書いている楽譜が有りました。

パッヘルベルのカノン の一部

一弓で弾くには長過ぎるし、同じ音が続く部分にもスラーが付いている。このスラーを忠実に守ると、この曲のリズムが狂ってしまうので、弓を返す部分にアップ・ダウンの記号を書きます。「ファ」の付点4分音符と8分音符は軽く切るようにする意味で、ダウンの記号を書き、譜例4の様にするのが一つの方法です。

譜例4

譜例5の様に書き直すのが一番ですが、印刷のスラーを消したりするのも手間ですし……

譜例5

2023年1月